2015年3月7日土曜日

AKG K340購入

AKGのオールド機であるK340をebayで購入しました。
初の海外輸入。物欲は国境と時代を超えました。


・K340とは

K340は、AKG社が1978,9年頃に発売したヘッドホンです。
この機種の大きな特徴が、世界初の静電型+ダイナミック型のハイブリッド構造であることです。静電型は別名コンデンサー型と呼ばれ、現在はSTAX社がイヤースピーカーとして製造を続けている駆動方式を持つユニットです。STAXのイヤースピーカーの音を想像して頂くと早いですが、中高域が非常に綺麗で音の立ち上がりが早く、細かい音の描写が得意とされるのが静電型ユニットの特徴です。よね?()
この静電型の持つ美しく繊細な高域と、ダイナミック型の低域の質感をいいとこ取りしようと合わさって作られたのがK340という訳ですね。
まるでどこかのハイエンドイヤホンのようです。昔からこういうの好きだったのね、赤毛さん
 
静電型ユニットは高い電圧を必要とするため、STAX社のイヤースピーカーは専用のアンプを用いて駆動させる必要がありますが、K340はハウジング内部にトランスを内蔵し、音楽信号を昇圧させることで電圧を確保しています。この方式をエレクトレットコンデンサー型といい、これにより標準プラグでの運用が可能となっています。インピーダンスや能率は犠牲になりましたが…(400Ω,94dB)。鬼かよ。
 
更に、ダイナミックドライバの音を通すための小型のパッシブラジエーターが5つ、静電型ユニットを囲むように配置されており、低音を主とする音作りに貢献しています。…文章力が無く伝えきれないので画像を交えて後述しますw

 
このようなヘッドホンの存在を知り、世界初のハイブリッド構造であること、かなりの研究を重ねたと思われる意欲的な構造であること、古い機種ながら評価が高いことなどからAKG好きとして俄然聴いてみたくなり興味本位で購入することにしました。ebayの代行業者を通し、諸費用合わせて約三万円也。

初の海外輸入ということで購入までは些か不安もありましたが、PayPalで送金した後はすぐに発送され、海外からの荷物でも追跡サービスが利用できたので安心して到着を待てました。便利な時代になったもんです。


・外観

AKG K340


現行機種のK240やK271のようなスタジオモニター用のような外観をしています。K340の前身に初代K240があり、デザインはそこから受け継がれているようです。
現行の紺色と違い黒一色!アルミリングが映えて惚れ惚れするほどカッコイイです(信者補正)。

ケーブルは最短時で1m弱のカールコードです。正直カールコードは長さや巻きがある分音的なマイナスイメージが拭えませんが、取り回しでいえばなかなかどうして使い勝手は悪くないです。
まあそうは言っても線材がスチールらしく陳腐なので、早い所リケーブルしようかと思ってますw
 

ヘッドバンドにAKGの文字が入っていないモデルは初期型のようです。マイナーチェンジが何度かあり、振動板の素材変更だかで音もそれぞれ違うのだとか。

装着感はかなり良好です。柔らかめの側圧、頭頂部にかかる負担もヘッドバンドの曲面がうまく荷重を分散し和らげてくれます。380g近くあり、どちらかといえば重量級な機種ですが、前屈みにでもならない限りはそこまで重さは苦になりません。


・構造

分解じゃー!
イヤーパッドを外し、防護用のフロントパネル(?)を外すと、中央に配置された静電型ユニットとそれを囲むパッシブラジエーター(振動板)×5、ネットワーク&トランス用の基盤が露になります。ダイナミックドライバは静電型ユニットの後ろに隠れて同軸上に配置されています。
このパッシブラジエーターというのがキモで、このラジエーター(振動板)は磁石やコイルが付いておらず直接ドライバーとしては機能しません。静電型ユニットに隠れたダイナミックドライバの音が、ハウジング内を通ってパッシブラジエーターを振動させることで関節的に音を出します。
スピーカー製作で用いられる技術で、容積が小さくても特定周波数、主に低音を増幅できるのだとか。ヘッドホンイヤホンしか興味のなかった自分には目から鱗の技術です。すごいね。


・音質

他の評判で見た通り中高域にかけての出方がとても良いです。
静電型を用いたことにより、高域は抜けが良い音ながら刺さるような音ではなく、むしろ余力を残すように恐ろしく綺麗に鳴ります。静電型ユニットの音を魅力的に引き出せています。
ですが、重心はダイナミック側の中域に寄っています。曲によってはダイナミック型の包むような厚い音がやや支配的に感じることもありますが、ボワつくことなくマイルドに仕上げてくれるので欠点ではなく好みのレベルでしょう。ロック系ではベースラインやタムの跳ねがとても気持ちよく聴けました。パッシブラジエーター、つよい。
主軸として鳴るのは厚みの出せるダイナミック型で高域は破綻せず綺麗に伸ばせる静電型、というのが印象ですかね。個人的に、ヘッドホンに求めていた理想のバランスにかなり近いです…!
ただ「AKGっぽい」音では無いですねw

解像度はやや低めで、定位や分離感はお世辞にも良いとは言えません。これはこれでオールド機っぽさ出ててアリかも?と思いますが、一応リケーブルで変わることを祈りましょうかね。
音場については面白いところで、奥行き感はかなり感じられるのに横の広がりが殆ど感じられませんw
高インピーダンスであることが原因かもわかりませんが、環境を変えても劇的に改善することはないでしょう…恐らくですが、パッシブラジエーターやドライバの同軸配置のような構造の問題かと思います。

ちなみに密閉型っぽい見た目のくせして盛大に音漏れします。セミオープンと言っても差し支えないです。
届く前はあわよくば通学時に電車で使おうかと計画もしていましたが、いざ音を出してみたら音漏れの許容範囲余裕で超えてました…orz

あ、あとこいつで聴くススメ→トゥモロウのイントロ半端なかったです。穂乃果ちゃん最高かよ…


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結論。買って良かった。
AKGは好きだけど現行ハイエンドのK812や712はそんな好きになれないという危篤な自分にはピッタリハマるヘッドホンでした。
ただ年季が入ってるせいもあって結構な頻度で静電型が接触不良?で通電しなくなる事があるのでなんとかしたい次第。手入れして直ればいいですが、トランスの劣化だとかなりキツイ…
後日ケーブル両出し&着脱化改造と合わせて頑張ります
それでは。

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