2015年4月29日水曜日

AUDIO CREATION 貴金属含有はんだの聴き比べ

一ヶ月ぶりの更新になります。
AUDIO CREATION社のはんだ4種を購入しミニミニを作り、はんだの聴き比べレビューというニッチな分野について書いていきたいと思います。



・そもそもはんだで音って変わるの?

皆様疑問に思われるところかと思います。はんだで音は変わるのか?変わるならなぜ変わるのか?
体感で音が変わるのは認識していましたが、なぜ変わるのか自分もよくわかっていなかったので、今回レビューを書くにあたってはんだ付けの原理を調べ、個人的な見解を出しました。


はんだ付けの原理を見てみましょう。簡単な捉え方としては、「はんだごてではんだを溶かし、溶けたはんだを接着剤代わりに金属同士を接合させる」という概念ですが、ミクロで見るともっと複雑なことがはんだ付け中に起こっています。

はんだが溶けて液体になると、はんだ付けされる母材の表面に広がる濡れ現象と共に毛細管現象が起こり、母材の結晶の間や結晶の内部に植物が地面に根をはるように浸食していきます。この現象のおかげで、強固な接合が可能となります。
更に、熱を与えることにより母材とはんだ間で拡散現象が起こります。これは、母材の原子がはんだ層に、はんだに含まれるスズ原子などが母材層に移動する現象で、移動する時にできる空孔に、座席交換のような形で互いの原子が入る
事で結合が起こり、母材表面上に主にCu6Sn5やCu3Snなどの合金の層を形成します 。
この「濡れ現象」、「毛細管現象」、「拡散現象」の三要素がはんだ付けのメカニズムとなっています。


個人的な見解としては、母材同士間のはんだ層はもちろん、この合金層が音質に影響を及ぼすのではないかと考えます。
はんだは種類により成分やその配合比率が異なってきます。これにより形成される合金の種類が変わり、音に変化を及ぼす可能性はあると思います。
残念ながら合金が本当に変わるのか詳細な情報は探しても見つかりませんでしたが…。
合金層は厚さにして数μm。この程度で本当に音が変わるのか書いてる自分も不安になりますが、この厚さだからこそ微妙な味付けが可能なのではないでしょうか。もう知らん。


もっとも、この理論は最適なはんだ付けを行った下での理論です。こて先の温度、加熱時間などを誤ってしまうと音も良くなく、機械的強度も落ちてしまいます。
製作を重ね技術を体得していくことがまずは大事でしょう。偉そうに書いておきながら自分もまだまだですが…。

前置きが長くなってしまいましたが、本題のはんだレビューに参りたいと思います。


・AUDIO CREATION社のはんだについて

AUDIO CREATION社のはんだは、三菱マテリアルの高純度スズを用い、そこに銀、金、プラチナを種類ごとに添加しており、各種音質にこだわりを持っている事が特徴です。


今回は銀を添加したSN4.5-AG、銀+金を添加したSN4.5-AG-AU、銀+プラチナを添加したSN4.5-AG-PTの三種類に加え、新製品であるはんだに金メッキを施した24K GPSの四種のはんだを用い、はんだのみを変えて製作したケーブルをパッと聴きし、感じた特徴を箇条書きにしてざっくりレビューしていきます。



・はんだの聴き比べ雑感

製作したミニミニ。マステで判別するのが小餅流

SN4.5-AG
・ギターや弦にピントが合う
・全体的に音は固め
・高域キラキラ、ハイハットがやや刺さり気味・低域はスパスパ鳴るが、量感は少ない
・高域が光る影響で一見解像度高く聴こえるが聴き込むとそこまでではない(KR19RMAに若干劣る)
・ロック向き


SN4.5-AG-AU
・一番音が前に出てくる、明るい音でパッと鳴らす
・ボーカルや中音域が雅やかで綺麗
・やや分離が甘い
・横の広がりはあるが奥行きが乏しい


SN4.5-AG-PT
・低域がボスボスで締まりも広がりもない
・中高域滑らか
・解像度は申し分なし

・オケ、生音向き?打ち込みには取り敢えず合わない気がします
・非常に扱いが難しい。ポテンシャルは高くハマると唯一無二になり得るが相性合わせが難しいじゃじゃ馬っ子


24K GPS
・スネアやライドシンバルが前面に出てくる、硬質でタイト
・音場広いが、音は近い 音場が広く音の遠い下流で使うと中途半端になり微妙になる・高域よりだが刺さることはない
・高域のタイトさが影響して女性ボーカルに棘が出る
・若干中低域が埋もれる
・AG-AUよりやや腰高で硬いが、他の特徴は似ている


以上が聴き比べを行い差異を感じたポイントです。太字の箇所が特に感じた点となっています。
ただ、聴き比べといってもケーブルを取っ替え引っ替えして眉にしわ寄せながら真剣に聴き比べた訳ではなく、ぼんやり聴きながら気づいたポイントをあげていった感じなので、かるーく参考にしていただければと思いますw

逆にいえばぼんやり聴いてても差が分かる程度には変化があるので、やはりはんだは侮れません…。


どのはんだも基礎性能は高くキャラもそれぞれ違うので、値段に目を瞑ればどれもオススメできるはんだ達です。材料が非常に高価なので高くなるのも仕方ないのですが…w

共立エレショップで1m単位で比較的安く購入できるので、気になった方はこちらでの購入をお勧めします。

24K GPSだけは現在直接AUDIO CREATION社に交渉するしか入手方法はないのでご注意です。ちなみにお値段ははんだにしては超弩級なので買いたい方はご覚悟を…w



---------------------

本題より前置きの方が長くね?とか言わないでください。前置きを調べていく内に闇に呑まれて本題がおまけみたいになってしまいました…w
苦し紛れに独自に解釈しましたが、やっぱり正確なところはわかりませんね。それでも音は変わってしまうので、これからも色々なはんだを吸っていきたいと思います。
今回は24K GPSが鰹節の香りがして面白かったです。いい匂いでした。
ぐだぐだになってしまいましたがこんなところで。

1 件のコメント:

  1. ケーブルをPC-Triple Cに変更すれば、解像度抜群のミニミニケーブルができたと思います。Agは解像度が高く、Ag-Auは中域を中心としたバランスのある音、Ag-Ptはバランスの良い曇りの無いクリアな音を堪能できますよ♪
    KR-19RMAは鉛が入ってなかったでしたっけ?鉛は音が曇るので私はあまり好きではないです。
    好みとは思いますが、大変参考になりました。

    返信削除