2017年2月28日火曜日

TAGOSTUDIO T3-01 購入


ブログではご無沙汰しています!小餅です。
今回は先日購入したヘッドホン「T3-01」のご紹介です。
TAGOSTUDIO T3-01

久しぶりにド本命の機種ですが、同社初の製品ということもあり、あまり知名度は高くないのが現状です。なので、少しでも知っていただきたいな、という気持ちを込めてレビューしようと思います。


・メーカーについて

このヘッドホンは、群馬県は高崎市に居を構えるTAGOSTUDIOというスタジオ会社が立案し、開発されました。
前述の通り、この機種が始めての製品のため、オーディオマニアには初耳の人が大多数だと思います。

近年、パソコンやスマートフォンなどで音楽を聴くことが 主流となっている中、
音楽の本当の感動を届けるためには、
ヘッドホンやイヤホンが最後の砦になると言えます。
音のプロフェッショナル達の、音造りに込めた思いをそのまま届けたい。
一流レコーディングエンジニア、アーティストの要望や意見を集められる
“TAGO STUDIO”ならではのヘッドホンを作りたい。
公式HPより引用)

このようなコンセプトを掲げて何をトチったのか突然ヘッドホンを作ろうと思い立ったTAGOSTUDIO。
明確なコンセプトはあっても、スタジオ会社にはヘッドホン製作のノウハウは当然ないため、同じく高崎にあるヘッドホン/イヤホンのODM(設計開発、製造)メーカー、TOKUMIに開発を依頼します。
スタジオユースに耐えうる、究極のナチュラルサウンドと疲れにくい装着感を。という課題は、あまりにも漠然としていて製造メーカーとしても難題であったと思われます。しかし、TAGOSTUDIOとの物理的な距離の近さから綿密に打ち合わせを重ねられ、TAGOSTUDIOが目指す音やデザインを明確に形にすることができたのだと思います。
こうした経緯を経て生まれたT3-01は、スタジオユースを想定されたヘッドホンとしては史上初であろう、木製ハウジングを搭載した今までにない製品となりました。


・外観

ハウジング側から。先ほども書いたように、木製ハウジングが一際目を引くデザインです。
材質は国産の楓材。オークヴィレッジという、木製家具製造のメーカーから部品供給をしているようです。
TAGOSTUDIOさん、ODMにせよ部品供給にせよ、その道のことはその道のプロに依頼して、それをしっかり公表しているところが好感持てます。
また、木材にはウレタン塗装を施しているためキズや汚れにもある程度耐えられるようにしているそうです。

木製ハウジングは結構分厚く作られています。
薄い板でわざと振動させて木の響きを乗せるためではなく、厚く固い木材でしっかりとした制振を狙って作られたのでしょう。同じ木製でもオーテクのESW系とは訳が違いますね。
 ヘッドバンド部。頭部に直接触れるバンド部と形状を維持するためのステンレスフレーム部の二重構造になっています。
バンド部にはTAGOSTUDIOのロゴが、そしてステンレスフレームにはレーザー刻印でTAKASAKIの文字が刻まれており、誇らしげです。
接触部はメッシュになっているのもGoodです!
バンド部はスナップで簡単に取り外せます。消耗品なので交換できるようにと意図されたものですね。
MADE IN JAPAN TOKUMIの刻印はスライダー根元の内側にさりげなく刻まれています。反対側にはシリアルナンバーが刻まれています。

ちなみにこのスライダーですが、ステップも無ければ目盛りの刻みもありません。スタジオ用としては常に同じ装着感が欲しいと思うのですが、これでは一度スライダーを動かすと元の位置にセットしなおすのが困難で、スタジオユースじゃなく普通に使うにも少し不便な点です…。
イヤーパッドは外側がベロア、内側だけ合皮のハイブリットになっています。ポタフェスでこれについて伺ったところ、全部合皮で作ったらめちゃくちゃ音が悪くなったとかw
このイヤーパッドのため、遮音性や音漏れは高くはなく、まずまずといったところです。電車で使うなら少し気を付ける必要があるかな、程度。
また、他の素材でイヤーパッドを出すことは現在検討されていないようです。

ケーブルは両出しの着脱式で、3.5mmステレオ端子。ピンアサインはTRSの順にHot、解放、GNDです。
ちなみにモノラルでもなんら問題はありませんでした。なぜステレオなのか謎。

他のプラグでは、画像のオヤイデで販売しているAec製のプラグが入りました。しっかりホールドしてくれるので抜け落ちる心配もありません。(LRのマーカーは後付けです)

純正ケーブル。布巻きの1.8m。The中途半端。
取り回しは太い割には柔軟ですがねじりに弱く、やや絡まりやすいです。
ネジ式で6.3mm標準プラグの着脱も可能。




ちなみにケースが付属しており、梱包時はこのケースにヘッドホンが入れられています。
ソフトケースの上、スポンジ材などが詰められてるわけでもないのでケースに入れているからといって雑な扱いは禁物です。無いよりマシかな程度。

また外観とはズレますが、ドライバはT3-01のために開発したというφ40mmのシルクプロテインコーティングのドライバを使っています。シルクプロテインコーティングは、これまた群馬県の繊維工業試験場との共同開発で作られた、シルクを精錬し溶液化したものをドライバに塗布する技術のようです。どういう経緯でこれの開発に着手することになったのか気になるところです。w


以上のように、非常に完成度の高い外観です。見た目だけでも値段相応のクオリティはありますね、さすが日本製といったところでしょうか。
ダメだしするならバンド部の端の合皮の断面が露わになっていて見た目がよろしくない点ですかね。折り込みやコバ処理を施してほしかったところです。

装着感は非常に良好です。側圧は強くなく、イヤパッドも程よく柔らかいです。頭に当たる部分もメッシュ素材で優しいタッチで装着できます。何時間でもつけていられる装着感は業務用途としても最適でしょう。

しかし、両出しケーブル、スライダーに目盛りなし、ケーブル長さは中途半端。と、スタジオユース想定としてはどうなの??と思う点はいくつか見られます。自分ははただの一般消費者なので、両出しに不満もないし、ケーブルは自作なりでリケーブルすれば良いし、スライダーの目盛り以外は不便に感じてませんが…
そもそも激しい扱いが想定され得る業務用途でウッドハウジングが耐えられるのかも疑問が…と思いますが()、この辺にしておきましょう。


・音質

肝心の音質についてです。
ウッドハウジングヘッドホンという先入観で聴くと、良くも悪くも予想を裏切られます。
一言で言ってしまうと、抜群の定位感と、誇張の無い自然な音が魅力のヘッドホンです。ポタフェスで試聴したときは、こういうのが欲しかった!!と感極まってしまいました。

まず特筆するべき点として、同サイズの密閉ヘッドホンでは今まで感じたことのない定位感が一番に感じた特徴です。
生音の打楽器ソロなどでは特に顕著で、まるでスティックの当たる場所が見えるような、恐ろしい分解能が得られます。定位が優れているおかげで、音が多い音源でもごちゃごちゃせずしっかり分離して聴くことができます。
さらに音場もこのハウジングサイズにしてはかなり広いので、打点から炸裂したように飛んでくる音はスウッと広がり、わざと味付けされたようなクセもなく素直に消えていくので聴いていて気持ちがいいです。さすがに開放型と比べると音場感は分が悪いですが、これでも十分ではないでしょうか。解像感も価格に見合う性能だと思います。

先に書いた誇張のない自然な音、というのは、さすがはスタジオユース目的で設計されたヘッドホンだなーといったところです。体感的にはやや下めに重心があるフラット調なサウンドです。
押し出し感は強すぎず、全くもって派手さはありませんが、いつまでも聴いていられる音で飽きが来ない。
とはいっても無機質に淡々と鳴らしているような印象はありません。ウッドハウジングやシルクプロテインコーティングドライバのような生体由来の材料をつかっているからでしょうか、クッキリハッキリとした定位感の中に少しマイルドな音像を感じます。
焼き立ての上質なベーグルのような音です(?)


レビューで他機種の名前は出すのはあまり好きではありませんが、個人的にはDT1770proなどに匹敵する性能を持っていると感じています。そのくらいのレベルの高いヘッドホンです。
価格は税込み送料込みでおよそ6万円となりますが、この価格帯のヘッドホンを検討される方は是非聴いてみてはいかがでしょうか。試聴機は、TAGOSTUDIO、e☆イヤホン秋葉原店/名古屋大須店/大阪梅田EST店、フジヤエービック、オークヴィレッジ東京、宮地楽器神田店にてお取り扱いがあるようです。
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丁度この価格帯でポータブルできるヘッドホンを探していた時に、なかなか好みの機種が見つからず、DT1770proで妥協しようかなあなどと思い悩んでいた時に運良く出会えました。ありがとうTAGOSTUDIO。
直販でしか購入できない、試聴機が少ないなどハードルの高い点は多々ありますが、クリアできる方は是非聴いてみてください。一聴の価値ありと断言します。
ではでは。

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